本と映画とぼっち飯

本と映画とひとり飯をまったり語ります

蚤とり侍

のみとり侍

公開 2018年
制作 日本
時間 110分
監督 鶴橋康夫
出演 阿部寛寺島しのぶ豊川悦司斎藤工
ストーリー ★★★★★
時代劇 ★★★★★
いくつになっても脱げる寺島しのぶ女優魂 ★★★★★

作家・小松重男の時代小説「蚤とり侍」を、『後妻業の女』などの鶴橋康夫監督が映画化した時代劇。裏稼業である「のみとり」を命じられた武士が、人々に助けられながら奮闘するさまを描く。エリート藩士から「のみとり」になってしまう主人公に阿部寛がふんするほか、寺島しのぶ豊川悦司斎藤工風間杜夫大竹しのぶ前田敦子、落語家の桂文枝らが出演。

シネマトゥデイ

猫の蚤とり→男の娼婦

猫の蚤とりとは馴染みのない言葉だが、江戸時代の裏稼業であったいわゆる男娼の隠語。

現代ならホストが近い存在かな。ここまであけすけなジャンルのお仕事は現代ではかなりディープな世界になるが、性に関しておおらかであった江戸ならではのお仕事。まあそれでも当時は裏稼業だけど…

 

原作は小松重男の短編集『蚤とり侍』。この短編集の中から3つの短編を1本にまとめたものが本作。

よって主人公は3人いることになる。主軸は短編『蚤とり侍』から主君の不興を被って「猫の蚤取り(売春夫)」へと身を落とされたクソ真面目な武士小林 寛之進阿部寛。短編『唐傘一本』は浮気封じとして毎朝妻に股間にうどん粉をまぶされる紙問屋の入婿の話。手練手管に通じた浮気性の入婿清兵衛豊川悦司。武士としての誇りに囚われ困窮極まるもまっすぐに生きようとする浪人の人情話。短編『代金百枚』の実直すぎる浪人佐伯 友之介斎藤工

 

配役の妙が冴える

物語のキャラクターをよく掴んだキャスティングがよいなぁと思う。

女心がわからない不器用さにかけては鉄板の阿部寛

軽薄さと色気のバランスがちょうど良く、頼りになったりならなかったりの塩梅が秀逸な豊川悦司

清貧に耐える実直なベビーフェイス、工藤工。この人がもし猫の蚤とり役やったら完璧すぎて嫌味になるもんね。これくらいの清廉潔白さ加減がよい。

寛之進の最初の蚤とりの客おみねに毎度濡れ場も辞さない寺島しのぶ。美人ではないがなぜか色気がすごい人。(個人の感想です)

寛之進が仕える越後長岡藩主、牧野備前守忠精にややオーバーめな演技だった松重豊。ちなみに牧野備前守忠精は実在の人物でこんな馬鹿ではない。

そして物語の舞台は越後(新潟地方)なのに脇を固める関西芸人勢。

桂文枝を筆頭に笑福亭鶴光ジミー大西オール阪神とアクの強いコッテコテな関西人が色を添える。

最後にトラウマ化しそうなほどに忘れられないのが寛之進の蚤とりの客として登場する山村紅葉。わずかながらの出演ながら強烈なインパクト出してくるよ♪もう食べられる((((;゚Д゚))))

 

短編をまとめるには無理があったかも

物語としては3つ短編をかけ合わせているのでエピソードの交差がちょっと不自然でオチもそれでいいの!?ってなったのよ。

こっから先はがっつりネタバレするよ

 

寛之進。お前だけが勝ち組か…

主君の牧野備前守忠精のパワハラによって猫の蚤とりへと身を落とされた寛之進だが、最後はその誠実さ実直さによって復職する。っていうか出世もする。

冒頭の騒ぎを見てるとそこまで主君の覚えの良い家臣には見えず、有象無象の一人っぽかったんだが忠精は実は気にかけていたらしい。なんだよそれ。ツンデレかよ。

寛之進はいわば元の鞘に収まった、もしくはそれ以上の待遇になったのに対して、尽力してくれた周りの人たちは何一つ好転してないのよ。

猫の蚤とりは変わらず違法だし、世話になった蚤とり仲間は失職。せめて友之介を藩で雇い入れる口利きをしてくれてもいいじゃないか!

爽やかに去っていくエンドロールの「あばよ!」という感じは解せないぜ!

 

後半いてもいなくてもどっちでもいい清兵衛

短編『唐傘一本』の主人公清兵衛のパートは、紙問屋へ婿に入ったときには唐傘一本しか財産を持っていなかった清兵衛。浮気がバレ、店を追い出されるときに、ふんどしひとつに唐傘を携え、大見得を切って堂々と去る。というくだりでオチてるので、このあとは本人不在でもストーリーは成り立つのよね。

馬に蹴られて記憶喪失、いつの間にやら長岡藩に召し抱えられてるとか棚ぼたな展開は優遇されすぎで解せない!

 

けっきょく貧乏かよ!友之介

武士の矜持に従い貧困に耐え、生ゴミを漁るほどに困窮していた友之介。猫に引っかかれたことで細菌感染を起こし、死にかけるが周りの助力により一命を取り留める。

下町にふさわしい人情話だが…それだけなのよ。

こういう主人公はもっとハッピーになる大どんでん返しを期待するだろ!普通!

ただのいい人で終わったのが解せない!

 

家族団らんでというわけにはいかない作品だが…

ほのぼの人情話だが、濡れ場も多く家族で観ることのできる作品ではない。

地上波放送も深夜枠かBS枠になっちゃうよねぇ。

とはいえ、江戸時代の市井の人々の生活が垣間見られる落語の艶笑噺を聴いてるようで嫌いじゃない作品ではありました。

 


「のみとり侍」予告

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